血液中の糖の話

今回も、糖の話です。

世の中では糖が悪く言われることが多いので、
糖を正しく理解するために、今回も書いていきます。

血糖値が低い状態が続くと、
体は「飢餓が来たのか」と勘違いするかもしれませんよ。

血糖値が低い状態というのは、
生命活動を持続するのに不可欠な動力源の元を失うことと同じことに繋がるからです。

そうならないために、体は食料が入ってこなくても直ぐにはくたばらないよう、
いくつかの防御機能を持っています。


空腹感を覚える時ってありますよね?

そんな時は、血糖値が低くなっているのかもしれませんよ。
そんな時は、お腹が空いて何かを食べたくなるはずです。

生命活動を続けるには、動力源であるエネルギーが必要です。

そのため、食べたい衝動に駆られるのは当たり前のことなのです。
だから、食べ物を適宜補給して血糖をある程度維持することは、
とても重要なことなのです。

血糖値が下がっている状態は、体にとってストレスになるのです。

通常なら、血糖値が低下すればお腹が空き、
何かを食べることで回復します。

でも、いつまで経っても栄養が入ってこない時や(断食や制限食)、
過酷な肉体活動でエネルギーが枯渇しかけている状態になると、
非常時のバックアップ用に蓄えられている予備の燃料を使うことになります。


体には、血糖を維持するためのバックアップ燃料があります。

主なものは、

  • 筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲン
  • 中性脂肪
  • タンパク質

です。

最初のバックアップ燃料は、グリコーゲンです。

血糖値が低下すると、
まず体に蓄えられているグリコーゲンを分解し、エネルギー源にします。

それでも栄養が入ってこないとなると、
次のバックアップシステムを発動することになります。

グリコーゲンも枯渇し、栄養も入ってこないとなると、
次は中性脂肪コラーゲン組織などを分解し、エネルギー源として使うことになります。

三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質は、
どれもエネルギー源として利用できます。

栄養素別の役割としては、
平常時はエネルギー源に糖質を使い、
いざという時はバックアップとして中性脂肪やタンパク質を使う。

そんなイメージです。


血糖を維持するには、いくつかの方法があります。

通常は、日々の食事や間食などで糖を得ることになります。

食べ物から栄養が入ってくれば、
体はそれを材料にしてエネルギーを作ります。

筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンは、
平時で半日から1日、
激しく体を動かしている時は1.5時間から2時間ほどで枯渇すると言われています。

食事から栄養が入ってこない時、
体はこのグリコーゲンを分解して、血糖を維持しようとします。

食事も入ってこない。
グリコーゲンも使い尽くした。

そのような時は、備蓄してある中性脂肪を分解し、エネルギー源にします。

中性脂肪も少ないような場合は、
体を構成するタンパク質(コラーゲン組織)を分解し、エネルギー源にします。

よほど偏った食事でなければ、そして普通に食事を摂っていれば、
血液中の糖はコントロールされるでしょう。


3番目の中性脂肪タンパク質をエネルギー源にすることは、
体に備わった仕組みとしては大切です。

ただし、少し困ることがあります。

それは、この2つには、
体を構成する要素としての役割もあるからです。

要するに、肉体という構造を削って、
エネルギー源に変えているということになります。

一般的には、中性脂肪の分解はダイエットになって喜ばれそうではありますが・・・・

しかし、タンパク質の分解は、
美容や健康上の問題を引き起こしかねないということも、
知っておく必要があるでしょう。


エネルギー源が脂質中心になると、
エネルギーを作る時の代謝システムが、
糖質中心から脂質中心に変わってしまう可能性があります。

この状態は、ランドルサイクルという仕組みで説明できます。

エネルギーは、細胞内にあるミトコンドリアで産生されます。

通常は、ブドウ糖を原料にしてエネルギーを作っています。

三大栄養素のどれからもエネルギーは作られるのですが、
日頃から脂質ばかりを材料にしてエネルギーを産生していると、
脂質を優先的にエネルギー源にするようになります。

たとえ血糖値が高い状態でも、
糖はエネルギー源として使われにくくなるようです。
これがランドルサイクル。

この状態がデフォルトになると、
あまり嬉しくないことが起こりやすくなるかもしれません。

現代人の食生活は昔と比べると、大量の油を摂るようになっています。
加工食品、炒め物料理、揚げ物料理などなど。
それらに使われる油の多くは、多価不飽和脂肪酸
この脂肪酸はとても酸化が早いため、体内で脂質過酸化反応が起こると言われています。

これが、多くの病気に繋がる元と言っても過言ではないと思えてなりません。


タンパク質の分解では、
筋肉や胸腺、美容と関係の深い皮下組織のコラーゲンなどが使われやすいと言われています。

これらの組織がエネルギー源に使われてしまったら、
問題ですよね?

お肌のハリが無くなり、シワやたるみの原因になるかも・・・・

皮下組織のコラーゲンをエネルギー源に使ってしまったら、
美容と健康に悪影響を与える可能性は、容易に想像できます。

あと、コラーゲンは骨にも含まれており、コラーゲンがあるおかげで弾力性を保てています。
もし、骨にあるコラーゲンが流出したら・・・
ただ硬いだけになり、乾燥した竹のように硬いけど折れやすいみたいな状態に?

他にも、タンパク質は代謝の過程で、
大量のアンモニアを発生させると言われています。

アンモニアは脳にとって毒性があり、
そのアンモニアの処理にも多くのエネルギーを消費します。

そのため、エネルギー不足の人にとっては、
より悪循環になると言えます。


低血糖は、体にとって非常事態です。

できれば、低血糖が長く持続する状態を作ることは好ましくありません。

ストレスホルモンを長期間分泌させ続けることとなり、
組織にダメージを与え続ける可能性が高くなります。

高血糖による問題を気にして糖質を控えすぎると、
血糖値の問題は一時的に落ち着くかもしれません。

しかし、長期的には他の、より深刻な事態に陥る可能性も否定できません。

高血糖は、甘い物をたくさん食べたから起こる?
という単純なものではありません。

体はいくつもの作用が組み合わさってできており、
何かを止めれば、その代償として別の何かが働き出します。

そのため、カットする、制限するという方法を使う時は、
その裏で何が始まるのかということも、
見ていく必要があると思うのです。


糖は、悪者として語られることが多い栄養素です。

しかし、糖は生命活動を支える大切なエネルギー源でもあります。

血糖値が高い、低いという数字だけを見るのではなく、
体が糖をどのように使っているのか。
糖が足りない時に、体は何を代わりに使っているのか。
脂質やタンパク質をエネルギー源にする時、体にどんな負担がかかるのか。

そうした全体の流れを見ていくことが大切だと思います。

糖を怖がるだけではなく、
体のエネルギー代謝という視点から、
血液中の糖を考えてみる。

それが、これからの食事や健康を考えるうえで、
大切な視点になるのではないでしょうか。

この記事は、崎谷博征氏や有馬ようこ氏の書籍で紹介されている糖代謝、エネルギー代謝、脂質代謝に関する考え方を参考にしながら、私自身の理解と解釈をもとにまとめたものです。

書籍の内容をそのまま要約したものではなく、日々の体の見方や施術現場で感じていることと照らし合わせながら、私なりに整理して書きました。

ここで書いている内容は特定の治療法や食事法を勧めるものではありません。
糖や脂質を単純に良い・悪いで判断するのではなく、体のエネルギー代謝という視点から、食事や体の働きを考えるきっかけとして読んでいただければと思います。


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