選べる時代ほど、健康は「選び方」で差が出る

体と習慣

選択肢が多い今の時代、健康のために必要なこととは。

現代は、食べ物や移動手段、働き方、過ごし方まで、あらゆる面で選択肢が増えた時代になっています。

おかげで、便利さは確かに増しました。
一方で、「何を選んだか」によって、暮らしや健康面での差が出やすくなったとも言えます。

選べることは自由ですが、その自由は迷いや負担を生む要素にもなります。今回は、そんな「選択肢の多さ」と健康との関係について考えてみたいと思います。

選択肢が増えた時代のむずかしさ

これは推測を含みますが、昔であればあるほど、衣食住での選択肢は少なかったはずです。

極端な話をすれば、大昔の狩猟採集の時代。
大自然の中で、身近にあるものだけが選択肢でした。

着るものも、食べるものも、住む場所も、今みたいに「いくらでも選べる」わけではない。
生活圏の中で手に入るもの、その中でやりくりするしかなかった。
選択というよりも選べなかった時代といえます。

それでも人類は絶えず、今まで繋がってきたわけです。

現代の何でも選べる時代と比べれば、まさに雲泥の差。
でも逆に言えば、選択肢が少ないということは、迷いも少ないということでもあります。

今のように、選び方ひとつで生活のリズムも健康度も大きく崩すことはなかったでしょう。
少なくとも、今のようなことは起こらなかったのではないか。
そんなふうにも思うのです。

少ない選択肢の中での生活

身の回りにあるものを活かして暮らす時代には、自分の体を使うことが生活の基本だったはずです。

狩りや採取のために歩き、獲物を追って走る。
野山で食べる物を探して採取。

飢餓や天変地異の厳しさはあったでしょう。
それでも、生きることそのものが、体を使うことと直結していました。それだけで健康的な生活を続けられていたのではないでしょうか。

そこには
「健康のために何かをする」
という発想は無かったはずです。

飢餓や天変地異が無ければ、その生活そのものが健康な生き方だったと言えるでしょう。

時代と共に狩猟採取から農耕へと文明は進化し、少しづつ選択肢が広がっていきます。

また、道具を編み出し自ら物づくりする技術を持ったことで、衣食住の選択肢も増えていったと思います。

このようにして、時代が進むのと比例して選択肢も広がっていった。それでも現代と比べれば、まだまだ選択肢は少なく、何を選択しても大した問題にはならなかったはずです。

今こそ必要なのは「減らす力」

選択肢が増えることは、便利さでもあります。
でも同時に、その選択が良い方向にばかり向くとはかぎらなくなりました。

安いから。
美味しいから。
手軽だから。

こうした理由で選ぶこと自体が悪いわけではありません。
ただ、それだけを判断基準にし続けると、少しずつ偏りが生まれやすくなります。

安いものばかり選ぶ。
美味しいからと同じものばかり食べる。
手軽さを優先して加工食品に偏る。

こういうことが起こりやすいのは、それだけ選択肢が多い時代だからです。

江戸時代の「江戸患い(脚気)」も、その一例として考えられるかもしれません。
精白米を食べられる人ほど偏りが起きやすく、逆にそれを選べなかった人には起こりにくかった。
選べることが、必ずしも良い結果に直結するわけではない。
これは今にも通じる話だと思います。
この事例は、「選べること」がそのまま良い結果に結びつくとは限らないことを示しています。

だからこそ現代では、何かを増やすこと以上に、まず選択肢を絞る力が重要なのです。

何でも取り入れるのではなく、
何を選び、何を選ばないか。
その基準を持つことが、体を整えるうえで大切になってくるのだと思います。

選ぶためには、知識も必要になる

もちろん、「安いから」「美味しいから」「手軽だから」で選ぶ日があってもいい。
でも、それだけを基準にし続けると、少しずつ偏りが出てきます。

だからこそ、選ぶためには最低限の知識も必要です。

生命を支える栄養素には何があるのか。
安い食材が安いのはなぜか。
美味しいと感じるものは、素材の良さなのか、それとも別の要素なのか。
加工食品にはどんなメリットとデメリットがあるのか。

こういうことを少しでも知っていれば、選び方はかなり変わってきます。

また、多少体に悪そうなものでも「今日は食べたい」と思う日もあるでしょう。
そう思ってもいいんです。
でもそれを、頻繁にするのか。
たまの楽しみにするのか。
そこを自分で決めることに意味がある。

選ばないことも選択。
たまに楽しむのも選択。

そうやって自分で線を引けることが、今の時代には必要なのだと思います。

体を整えるには、選択肢をしぼる

選択肢が多いということは、本来なら必要のない“邪魔”も多いということです。

本当に必要なものを選ぶ。
それ以外の誘惑に、毎回引っ張られすぎない。
この力は、感覚だけでやるにはなかなか難しい。
私は、これも技術だと思っています。

昔は、そもそも迷うほどの選択肢がなかった。
でも今は違います。
情報が多い。
誘惑も多い。
しかも、次から次へとやってくる。

だから、自分に必要なものを選ぶためには、
自分の体が何を求めていて、何に振り回されやすいのか。
そこを知っておくことも大事になってきます。

選ぶこと。
減らすこと。
邪魔を遠ざけること。

簡単そうに見えて、実は簡単ではありません。
でも、何かを足し続ける前に、まず余計なものを減らす。
この視点を持つだけでも、暮らしや体の状態は変わってくるはずです。

選べる時代だからこそ、
大事なのは「何を増やすか」だけではなく、
「何を選び、何を選ばないか」

健康は、特別なことを足すことより、
まず選び方を整えることから始まるのかもしれません。

自分に必要なものを選ぶには、知識だけでなく、今の自分の状態を知ることも大事です。
ひとりでは気づきにくいこともあるので、そういう時は誰かと一緒に見直してみるのも一つだと思います。

選択肢
なにを選択するか?

のぞみ|体と心の相談室

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